「夫は外、妻は家庭」という考え方に「反対」する人が多数派に今年2月、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に「反対」する人の割合(48.9%)が、「賛成」する人の割合(45.2%)を始めて上回り、ニュースとなった。このような性別役割分業観に「賛成」する人は、1979年の調査では7割(72.6%)を超えていた。その後、1992年に60.1%、2002年に46.9%と減少を続け、性別役割分業意識を持つ人は今回(2004年調査)始めて少数派となったのである(注1)。
意識は変わっても、妻が家事を担うことは変わらない
しかし、行動レベルでは、家事を「妻が担当する」という人の割合は掃除が77.6%、食事の支度が87.4%、食事の後片付け・食器洗いが78.9%であり、依然として8~9割の家庭で妻が家事を担っていた。「夫が担当する」と答えた人の割合は、それぞれ、4%、1.2%、3.5%だけである(注1)。
当研究所の2002年の調査でも、食料品の買い物、料理、食事の後片付け、洗濯、掃除などについて、夫が「時々または一部手伝う」という人の割合は、1990年に比べて若干増えたものの、「主に担当する」という人の割合はいずれも一桁にとどまった(注2)。
このように、意識は変化したのだが、家事分担の妻への集中は変わっていない。
中学生の半数以上が食器を流しに運んでいるが、父親では4人に1人だけ
そこで、子どもたちは父親の家事参加をどのように見ているのか、筆者は昨年12月に中学生を対象として調査(注3)を行なった。その結果より、父がよく行なう家事と中学生自身がよくする手伝いとを比較すると、図のように、「食料品の買い物」と「住まいの修繕」に関しては父の方がよく行なっており、「食器を流しに運ぶ」、「洗濯物を取り込む」に関しては中学生の方がよく行なっていた。その他の家事については両者とも1~3割と低く、妻(母親)は、夫も子どももあまり当てにできない状況である。
「食器を流しに運ぶ」という簡単な家事でさえ、行なっている父親が26.6%にとどまることは、平均年齢46.5歳という働き盛りで、家で食事をとることが少ないためかと考えられる。しかし、夕食を家族全員で食べる頻度について中学生に聞いたところ、「ほぼ毎日」が22.0%、「週3~4回」が23.0%、「週1~2回」が41.3%であり、合わせると86.3%の父親が週1回以上家族と夕食をとっていた。26.6%という数字は小さすぎるのではないかと思われる。家で食事をしても食器を下げている父親は少ないものと推察される。
以上より、意識のレベルでは性別役割分業規範からの解放が確実に進んでいるが、多くの家庭で家事を担っているのは依然として妻(母親)であり、実践レベルでの変化は遅々として進んでいない。食器を流しに運ぶという簡単な家事ですら、行なっている父親は4人に1人であり、中学生の半分のレベルにとどまった。

東京ガス都市生活研究所『家庭における食事環境と中学生の幸福感』2005、22頁
日本では、欧米諸国と比べて男性の家事参加度が低く、家事時間の男女差が極端に大きい(注4)ことはよく知られている。例えば、6歳未満の子どものいる世帯において、平日の夫の家事時間は21分、有業女性の5時間に比べて15分の1程度。無業女性の場合、その比率はさらに大きい。6歳未満の子どものいない世帯では、平日の夫の家事時間は8分である(注5)。このような性による時間の不平等は、男性の仕事時間の長さに原因があるとされるが、近年、女性についても週40時間以上働く人が有業女性の約半数となり、仕事と家庭を両立させるための女性への負担はこれまで以上に重くなっていると考えられる。
このようなジェンダーによる不平等をなくすためには、先に述べた性別役割分業意識の変化を実践に反映させることが重要であり、男女がともに家事・育児に参加し、社会参加しやすい社会システムの実現が求められている。
<引用文献>
(注1)
内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(2005年2月5日発表)
(注2)
東京ガス都市生活研究所『生活定点観測データ集2002年』2002
(注3)
東京ガス都市生活研究所『家庭における食事環境と中学生の幸福感』2005
(注4)
井上輝子・江原由美子編『女性のデータブック〔第3版〕』有斐閣、1999
(注5)
内閣府『少子化社会白書 平成16年版』ぎょうせい、2002









