都市研コラム都市研コラム

LOHAS(15) LOHASな住環境形成のために

 これまではLOHASの全体的なお話をしてきました。
 今回は私たちの領域であるエネルギー視点から、省エネで健康的な住環境について考えて見ましょう。
 こちらのコラムにあるように、五感を刺激する空調システムはLOHAS的空調の一つの形と言えそうです。機械的な設備だけで省エネ、健康を求めるのではなく、使っていて気持ちよくなれるよう家全体、さらに家と外の空間まで連続的に考えてみることが大切です。
 空調するときに風、光、音、匂い、そして時には味覚のような五感の要素を取り入れると、おそらく生活者の住環境に関する「期待値」が変動し、あまりエネルギーを投入しなくても快適さを感じさせる空調ができることでしょう。もともと快適感は個人差があるものです。「個人の期待値」自由に変化させることができると、これまでの空調で課題だった温熱感の個人差を埋められるのではないでしょうか。

 このように今後の空調システムはいかに効率よく個人差を考慮するかが重要だと考えられます。この点に着目すると、住環境に関連した個人差はもう一つあります。
 それは生活動線です。日常生活の基本動線ではあまり個人差はないかもしれませんが、実際の居住者は様々な生活パターンを持っています。大人と子供、男性、女性、それぞれ家での過ごし方や、動き方は全く違います。例えば自室で仕事をする大人の男性と、リビングでテレビゲームをする子供は一見するとあまり動きに差がないように感じられます。ところが実際には子供はあまりじっとしていません。ゲームをやめたとたんに家中を動き回ったりします。

 このような住まい手各々の動線を考慮すると、個人個人の生活実態に即した空調が実現できるのではないでしょうか。もしかすると、住まい手が家の中のどこに居ても暑さ寒さを我慢することなく、さらに全体のシステムでみると省エネ実現できる空調になるかもしれません。
 LOHASな空調の可能性として、取り組む価値はありそうです。

川又 大祐

このページの先頭へ