都市研コラム都市研コラム

感性へのこだわりを高めるには?

 「感性価値」への関心が高まっている。マーケティングのキーワードとして「五感」や「感性」が数年前から多用されるようになり、商品やサービスの付加価値増大のポイントが五感満足にあることが一般的に認識されるようになった。洋服や車、生活小物などの日用品から建物に至るまで、デザイン性重視のものが頻繁に脚光を浴びている。また経済産業省でも2010年度までを「感性価値創造イヤー」と定め、「感性価値」を創造するための施策を重視している。さらに、世界で通用する日本人デザイナーや芸術家も目立っている。

 しかし一般生活者でも、感性にこだわる人は増えているのだろうか。都市生活研究所の定点観測調査の結果を見ると、残念ながら逆の傾向が読み取れる。例えばインテリアへのこだわりを持つ人や、家具選びの際にデザインにこだわる人の割合は、いずれもバブル経済崩壊後の1993年以降、ずっと低下し続けているのである。

どんなインテリアひとつにも自分のこだわりを持っている

 消費者の感性へのこだわりが低下していれば、企業や行政が日本の感性価値レベルをあげようと努力しても限界がある。一般生活者の感性へのこだわりを高めるにはどうしたらよいだろうか。

 デザインのよさや心地よさなどの感性的価値は、サイズや性能などのように明確な数値では表しにくい。そのため体感した経験がなければ価値が理解されにくく重視されくい。したがって、感性が豊かに刺激されるような体験や良質なモノに多く触れる機会を増やすことが大切である。欧州などでは毎日の住まい環境の美しさにこだわる人が多い上に、そもそも街自体が芸術のように美しいところもたくさんある。また、美術館はできるだけ多くの人が見られるような開館時間や価格設定に工夫されているなど、感性を育むのに有利な環境であると思う。日本でも、誰もが日常生活で洗練された芸術を身近で体感できるようなしかけがもっと必要ではないだろうか。

早川 美穂

このページの先頭へ