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高齢者のライフスタイルのとらえ方

 これまで高齢者というと、「60代以上」というくくりで考えることが多かった。しかし、超高齢社会をむかえた現代、高齢者を「60代以上」で代表させることは有効なのだろうか。
 そこで、ここでは、いままで「高齢者」と呼ばれていた年代を、「60代」と「70代以上」にわけて生活に対する意識を比較してみたい。
 まず、高齢期の生活イメージをみると、70代以上では60代に比べて、不安イメージが少ないことが特徴になっている。インタビュー調査では、「人生の終焉を感じ、金銭面の見通しがたった」と回答する70代が多く、60代よりも金銭的な不安が減ったことが、こうした結果につながったのだろう。その一方で、チャレンジや自由といったイメージは、60代よりも強い、もしくは同程度であることから、70代以上では、自分の生活に対して、ポジティブな生活イメージをより強く持つようになることがわかる。
 次に、充実させたい生活には、60代ではレジャー・娯楽(60代50.3% 70代以上33.7%)、70代以上になると食生活(70代以上37.6%、60代 23.7%)が最も多くあげられた。つまり、70代になると、チャレンジという言葉に代表されるように生活への意欲は高いが、レジャー・娯楽への関心が低下するなど行動範囲を狭めたなかで、生活を楽しんでいくことが予測される。また、70代以上では、健康面の不安がより高いことから、(健康不安 70代74.2%、60代67.5%)、健康に直結しやすい食生活を充実させたい気持ちが強くなったのだろう。
 高齢者に対して商品やサービスを企画する中心となるだろう30~40代は、高齢者の生活を「のんびり」というイメージ(30代73.6%、40代63.8%)でとらえることが多い。しかし、今後はイメージにとらわれず、年代やライフスタイルをさらに細分化した上で、高齢者への提案をすることが必要なのではないか。

高齢期の生活イメージ(生活定点調査2005)
中塚 千恵

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