都市研コラム都市研コラム

強くても深くはない結び付き

 現在の子どもは6つのポケットを持つという。両親プラス祖父母4人のおサイフを自由に使える。場合によっては、叔父・叔母のポケットが加わることもある。少子化の影響により、子どもたちは宝として、大事に、大切に扱われている。
 運動会などの行事への参加、七五三や初節句での会食、母娘を中心とした親子の近居など、3世代の家族が集まる機会は増えている。2008年に弊研究所が実施した生活定点観測調査(3年に1回質問紙郵送法で実施、回収数3112、有効回答率73.5%、質問数約500問)でも、核家族ではなく、大家族を好む傾向が強まった。
 しかし、強い結び付きは必要だが、深い関係を求めているわけではない。
「孫が生まれたら、孫の育児に積極的に関わりたい」と思う50代以上は半数に満たない。特に女性は3割程度であり、男性の参加意欲を下回る。定年後も何らしかの仕事をしたいという気持ちが強い男性は、役割のひとつとして、孫の育児に関わりたいのだろう。一方、子ども側も、高齢期の親の世話について、介護サービスに頼りたいとする回答が30~40代では半数を超えている。親子として仲良くはしたいが、生活を犠牲にする責任を負うことを回避したい気持ちが伺える。
 少子高齢化がすすむなかでは、親と子、友人や知人及び地域とどのように結び付くかが問われる。血縁を含めて、深くはない関係を求めるなかで、強い結びつきを感じるために必要なものは何か。これまではインターネットがその一端を担っていたが、新たな手段を考える時期を迎えつつあるのではないか。

中塚 千恵

「孫が生まれたら、孫の育児に積極的に関わりたい」

「孫が生まれたら、孫の育児に積極的に関わりたい」


自分の親の介護が必要になった場合「A.自分の手で世話をしたい。」「B.介護サ−ビスを利用したい。」

自分の親の介護が必要になった場合「A.自分の手で世話をしたい。」「B.介護サ−ビスを利用したい。」

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