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モノを買わない? 20代

 20代は、ブランド物に興味がない、車は欲しがらないというように、「モノを買わない」と言われています。
 その背景のひとつとして、彼らが小学校入学の頃にはバブル経済が崩壊し、先行き不透明な世の中で育ってきたことから、安定した暮らしをしたい意識が強いことが挙げられます。

 都市生活研究所の調査でも、「もしもの時のために貯金をしておきたい」の問いにあてはまると回答する20代は約45%と、他の世代と比べて最も高く、安定志向がみてとれます。

もしもの時のために貯金をしておきたい


 しかし、20代はモノを買いたくないのでしょうか。
 確かに、これまでの20代と比べると、ブランド物や車をもつことにステイタスを感じず、欲しくないと思う人が多いのかもしれません。一方で、憧れているものを手に入れることや好きなものなら高額でも買いたいという思う割合は高くなっています。

憧れているものを手に入れることに喜びを感じる

好きなものなら、高額でも買うことに抵抗がない

 これらの意識は、一見、矛盾しているようにも見えますが、今の20代の安定して暮らしたい気持ちのあらわれと考えられます。安定志向が強いので、好きなものを買うのであれば、高くても長く使い続けられるものや品質の良いものを買ったほうが無駄なお金を使わなくてすむという考え方なのかもしれません。モノを買いたくないのではなく、ブランドものや車が彼らの買いたいものではないのであって、むしろ自分が憧れているものや好きなものを買いたい気持ちは強いのだと思われます。


 「若いから○○なのだろう」という見方や、逆に「シニア層だから○○のはず」といった、これまでのイメージだけでは生活者の姿をとらえることはできないかもしれません。生まれ育った時代背景の影響を受ける世代に特徴的な価値観もあわせてみることが真の姿をとらえる鍵になるのではないでしょうか。

荻原 美由紀

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