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 「イクメン」という言葉が定着し、男性が好むデザインの育児用品も増えているようです。実際、男性も使い易そうな抱っこひもで小さい子どもを抱っこしているお父さんを、以前より良く見かけるようになりました。都市生活レポート「男性の育児・家事の意識と実態~育児現役世代と育児卒業世代の比較~」では、8歳までの長子がいる「育児現役世代の20~40代」を中心に、末子が12歳以上である「育児卒業世代の50~60代」との比較を通して、男性の育児・家事の実態と意識を探りました。その結果、育児現役世代の男性は育児に積極的で、特に若年層は育児に関して「楽しむ」という価値を見出していることがわかりました(図1)。

図1.育児を目いっぱい楽しみたいか【男性】
図1.育児を目いっぱい楽しみたいか【男性】
                                                      N=3273



 しかし、育児は楽しいことばかりではないはずです。育児現役世代は育児にどのような悩みをかかえているのでしょうか。育児で感じる悩みを育児現役世代の男女に聞いたところ(図2,図3)、男女共に「自分のやりたいことが十分にできない」がトップに。これは、子どもが小さいうちは自分のことよりも育児優先の生活になっているためと考えられます。
男性の2位以下には「子供と接する時間が十分にない」「父親としてのコミュニティがない」「子育ての悩みを相談できる人(場所)がない」があがっています。男性は子どもが生まれてからも仕事中心の生活で、子どもと接する時間が短いことがうかがえます。また、男性が子育てに積極的に参加するようになったとはいえ、父親にとって、子育ての話や相談ができる場がないと感じている人は多いようです。一方女性の2位以下には「子育てに自信がない」「子供との接し方に自信が持てない」「母親としてのコミュニティがない」があがっています。母親は父親よりも子どもと接する時間が長く、子育てに悩む場面が多いためか「自信が無い」、と感じる人が男性より多いようです。

図2.育児で感じること【男性】
図2.育児で感じること【男性】
                               全体(30代含む):N=900 20代:N=78 40代:N=236


図3.育児で感じること【女性】
図3.育児で感じること【女性
                               全体(30代含む):N=900 20代:N=209 40代:N=87]



 「父親、母親としてのコミュニティがない」は、男女共に年代による差が大きく、20代男性が約5割、20代女性が約4割に上っています。20代は子どもがまだ小さく、育児の経験が浅かったり、幼稚園や学校等の父母のつながりが無いためかもしれません。子どもが小さく親が孤立しやすい時期にこそ、親同士が交流できるようなコミュニティの形成が求められているようです。また、父親同士で交流できる場もあれば、今後さらなる男性の育児参加を促進する一つの鍵になるのではないでしょうか。


青柳 恵子

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