都市研コラム

TV、パソコン、そして...

 私の祖母は明治生まれで、89歳まで生きていました。60代まではスポーツに、歌に、畑作りにと、よく出歩いていましたが、70代以降は自宅にいる時間が長くなりました。大好きなTVの前にいたことが多く、とりわけ相撲と時代劇を好んで見ていました。TVばかり見ていると体に悪いのではないかと思われるかもしれませんが、さにあらず、毎朝6時前には起きてNHKにチャンネルを合わせ、TV体操をしていました。この習慣は非常に体によかったようで、祖母は糖尿病を患いながらも、最後まで頑丈な手足を保ち、80を超えて玄関の石畳で思いっきり転んだ時も骨ひとつ折りませんでした。


 TVが最大の娯楽だった祖母の70代の頃(1980年代)に比べ、現在は高齢者の人口も増え、高齢者向けの娯楽やサービスも増えているように感じます。2016年時点で66歳~70歳を迎える創食世代(都市生活研究所が定義した「食世代」のうち、1946~50年生まれの世代。一般に「団塊の世代」と呼ばれる世代が含まれる。)に、「現在行っている趣味や余暇」について尋ねてみました。


図1.現在行っている趣味や余暇


 旅行・散歩は高齢者に多い余暇の過ごし方として予想できますが、パソコンが男女合計のトップ(男性で1位、女性で2位)であることに注目です。
 パソコンが職場に普及したのは、創食世代の40代以降です(参考:パソコンの世帯保有率が50%を超えたのは2000年、創食世代が50~54歳の頃です。『平成25年 情報通信白書 主な情報通信機器の普及状況(世帯)より』)。十分なパソコンスキル習得の機会がないままに現役を引退してしまった人も多いと思われ、しかも現在デジタル全盛時代ということもあり、創食世代を含めた高齢者のパソコン習得の需要が高いのではないかと考えられます。
 パソコンは自宅で出来、体力を問わず、ケガの心配もありません。ゲームやお絵描きなどの趣味はもちろん、自宅に居ながらにして買い物や、人とのコミュニケーションも可能になるパソコンは、高齢者にとってこそ、欠かせないツールであるのかもしれません。


 祖母が子供の頃、TVは存在しませんでした。そのTVが祖母の老年の楽しみとなりました。創食世代が子供の頃、個人用コンピューターなどは夢のまた夢だったと思われますが、今や一人一台に近い勢いで普及し、創食世代のセカンドライフを支えているとも言えます。


 私の老年は、何が支えてくれるのでしょうか。何が登場するのでしょうか(ロボット?)。想像を超えるような物が当たり前の家電になっているかもしれず、そう考えると楽しみです。


・「創食世代」(1946~50年生まれ)に関するレポート
 「食・世代 ~食による新しい世代の研究~」(2013年4月発行)
 「創食世代のライフスタイル」(2014年12月発行)


青木 眞希

このページの先頭へ