団塊の世代は、定年後は世間でいわれているボランティアより、収入を得られる仕事をしたい。しかし、その願望を実現するには、現役時代の準備が必要だ。
やりたいのは仕事
人生を充実させようとするならば、定年後も自己実現の場がほしい。世間では、定年後はボランティアへとよくいわれる。確かに、それをやりたい人は、その道を進めばいい。なんら、問題はない。でも、本当に、それを望んでいるのだろうか。
現在50代男性のサラリーマンに、定年後やりたいことを聞いた。結果は【表1】のとおり収入を伴う仕事が57.3%に対して、ボランティアは35.0%にすぎない。

50代男性はボランティアよりずっと仕事をしたいのだ。特に団塊は、仕事、ボランティア共それ以外の50代よりやりたい率は高いが、仕事をしたい人の割合は63.1%と非団塊より13.1%も高い。団塊の仕事志向は顕著だ。
他方、50代男性にやりたくないものを聞くと、ボランティアが22.5%で、仕事の11.7%の約2倍ある。仕事よりボランティアをやりたくない人が実に2倍もいるのだ。ここでは、団塊と非団塊の50代の差はあまりない【表2】。

定年後は1人で自営
最近、65歳までの定年延長の議論がさかんになってきた。年金支給開始年齢が段階的に引き上げられるのだから当然だ。しかし、50代管理職が、その恩恵を被ることは難しい。企業間競争が激しくなると、各企業共有能な若年社員をどんどん任用して変化に立ち向かっていかなければならない。管理職ポストは、できるだけ早く後輩に譲ってほしいというのが企業の本音である。働きたいけれど、道はないように見える。
しかし、大企業の考える定年後の処遇をみると、嘱託社員が76.2%で1位だが、2位に請負契約による就労40.5%が入っている(社会経済生産性本部『ホワイトカラー40歳からの雇用』)。
定年で辞めるときに、現在の会社や取引先と、今やっている仕事の一部の切り出しを交渉し、請負契約を結ぶ。退職後は、それをベースにして、他の部や取引先に営業し、注文をふやしていく。これが、都市生活研究所が提案した「定年自営」だ(「定年自営のすすめ」講談社)。
どうすればできるのか
実践者のヒアリング結果からは、定年自営で仕事をするには、三点が重要だとわかった。 第一に、自分の売り物は、ある特定分野の専門性であり、もといた会社ではトップレベルの質をもっていた。この専門性をキープするには、いわゆるマイベストジョブのような適職を在職中にみつけ、会社の意向とはやや異なる場合があっても、それにこだわりつづけることが重要だ。
第二に、開業時の顧客は、元の会社から受注、元の取引先から受注、セミナー会社や商工団体に登録し、そこを経由しての受注の3つがある。元の会社からの受注は、パイプがあるうえに、これまでにその人のスキルがわかっているので、アウトソーシングの受け皿として、他と競合できる。ほかの二つも、在職中のルートが活用されており、これを太く信頼性の高いものにしておくことが大事だ。
第三は、人脈が多く、その範囲が広く多様なほど、メリットもある。会社にいれば仕事は向こうからやってくる。自営になると、担当者がわざわざ発注するのは、その人と親しいとか助けてあげたいとか、感情が入ってくる。少なくとも、嫌いな人には発注しない。だからパーソナリティが大切で、キーパースンとの人脈が命になる。
総括的にいえることは、サラリーマンとして会社に与えられた仕事をやっているだけでは、定年自営の道は難しい。自分の特定スキルを決めて、その市場価値を高めていくことが自営への道だ。そのためには、外部の専門家とのつきあい、副業での他流試合、資格や学位などの指標も有効である。一般市場で働くのに比べ、在職中の仕事を通してそのスキルを認知しているマーケットがあることが、定年自営の最大の強みである。
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