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お湯洗濯の効能

以前のコラム「洗濯スタイルの変化」で、主婦の就業形態とお湯洗濯の実践者との関係をお知らせしました。そこでは、フルタイムの主婦は専業主婦やパートタイムの主婦に比べて、給湯器からのお湯を使って洗濯をしている割合が高かったという結果をご紹介しました。それでは日常的にお湯洗濯をしている主婦たちは、水洗濯に比べて一体どのような効能をお湯洗濯に見出しているのでしょうか?

お湯洗濯の利点として良く知られているのは、粉洗剤が良く溶けることです。下のグラフはせっけん成分を含む粉洗剤の溶解について調べた実験結果です。20℃の水に比べ、60℃のお湯にすると粉洗剤はすぐによく溶けることがわかります。このようにお湯洗濯は洗剤の溶け残りの心配がないため、アトピー性皮膚炎のお子さんがいるご家庭でも、水には溶けにくいせっけん成分を含む粉洗剤を使って安心して洗濯ができます。洗濯後に衣類に残った残留洗剤について、私たちが調べた他の実験結果でも、お湯の方が水に比べて残留洗剤は少ない傾向になりました。

洗剤が良く溶けるの温度に関しての調査結果部ラフ

(2005年実施・都市生活研究所調べ)
お湯洗濯についてのアンケート調査において、日常的にお湯洗濯を行なっているご家庭の特徴を調べたところ、アレルギー疾患の有無によって頻度に違いが見られました。下のグラフでは、お湯洗濯実践者全体としての頻度に比べて、アレルギー疾患がないグループでは頻度が低くなっています。これに比べ、アトピー性皮膚炎の症状を持つご家族がいらっしゃるご家庭では、お湯を使って洗濯をする頻度が高くなっていました。お湯を洗濯に使う理由は粉洗剤の溶解性以外にもあると思いますが、肌に触れる衣類に気を使わなければならないご家庭にとって、洗濯は切実に取り組まなければならない家事です。有益な情報が必要ですね。
お湯で選択をする頻度を表した棒グラフ

(2005年実施・都市生活研究所調べ)

都市生活研究所 十河 桜子

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