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海外「食」事情レポート(6)

 前編までに、イタリアのマダムたちが「旬の素材使って、シンプルなおいしい料理をあっという間に作る」ラ・クチーナ・エスプレッサについて紹介しました。ラ・クチーナ・エスプレッサは、段取り良くスピーディな同時調理が鉄則です。
 でも、実際には何をすればラ・クチーナ・エスプレッサなの?
 一体、どんな風に調理をすればいいの?
 今号では、そんな皆様のご要望に応え、いよいよ実践編にステップアップします。


「日本版ラ・クチーナ・エスプレッサ成功のための5つの法則」
【法則1・段取り力で勝負がつく】
 買い物をしながら、今日のメニューを考える
 帰り道に調理の手順をイメージする
 よく使う調味料と調理器具は手の届くところへ置く

 短時間で調理をすませるためには、物心両面の用意周到な準備が不可欠。これらを総称して段取り力としました。
 まずは「物」。毎日の料理をスムーズにすすめるためには、キッチンの整備が重要です。何も豪華な設備や素敵な道具が必要と言うわけではありません。調味料をいちいち棚の奥から出したり、おたまをごちゃごちゃの引き出しの中から取り出しているようでは、それだけで大幅な時間のロス。よく使うものはすぐ手が届くところへ置いておく、これが、日々の料理を円滑に進めるのです。
 「物」が充実したら次は「心」。今日は何を食べたいのか、それを作るには何を揃えればいいのか、それはどんな風に作ればいいのか・・・等々、家に帰ってから考えるのでは遅すぎます!買い物しながら、あるいは帰り道におおよそをイメージしてみましょう。料理のスピードがまったく違ってくるはずです。
 北海道の大学の先生が、料理と段取り力の関係を調べた報告を読んだことがあります。段取り力がある人とない人では、料理の仕上がり時間が平均して2倍違ったとか。忙しいマダムにとって、2倍の差は大きな魅力です。

【法則2・素材をきちんと選ぶ】
 旬の素材で「おいしく・安く・栄養価も高い・簡単料理」を実現する
 乾物や缶詰も上手に利用しよう

 その昔、ヨーロッパでは新鮮な素材が手に入りにくかったため、素材をオーブンでじっくり時間をかけて調理したり、鍋でゆっくり煮込み調理をしていました。しかし流通がすすみ、新鮮な素材が簡単に入手できるようになった現代では、シンプルな調理でもおいしい料理が出来ます。特に旬の素材なら、旨みや甘みが強かったり、脂がのっていたりと、素材自体の力が強いので、最低限の加熱と味付けで十分です。
 また、忙しくて新鮮な素材が手に入らないときは、買い置きの乾物や缶詰を上手に利用すると、素材の幅が広がり料理もぐんとレベルアップします。

【法則3・コンロの達人は全口・全開・全活用!】
 バーナーの火力に適した使い方と時間配分を考えよう
 手を動かす調理とかけっぱなし調理を上手に組み合わせる
 グリルはとにかく大活用、魚以外にどれだけ使えるかが勝負の分かれ目
 強い火力で一気に調理!

 ラ・クチーナ・エスプレッサで一番肝心なことは
「いかにコンロを上手に使いこなすか」
 です。
 火力の異なる左右のバーナーを、調理法によって使い分けていますか?炒める・茹でる・炊く調理、あるいは急いでいる時、量が多い時は、大バーナーで調理をしましょう。
 トータルの調理時間の大幅な短縮には、一つ一つの調理の時間短縮も意味がありますが、なんといってもコンロの同時利用が効果大です。ただし、いくら同時調理が良いといっても、右のコンロで炒め物をして、左のコンロで出汁巻き卵を作ることは、例えどんな料理上手でも不可能。3つまたは4つの料理を同時に作る場合は、時間帯ごとに手を動かすのは1つの料理だけにして、あとは手間いらずの状態の組み合わせメニューを作ることが、成功の鍵になります。
 また、グリルを使った料理のレパートリーを増やすと、毎日のメニューの幅が大きく広がります。魚だけではなく、肉や野菜、忙しいときには買ってきた惣菜の温めなおしにもグリルは最適です。

法則4、法則5は次回にご紹介します。

都市生活研究所 小西 雅子

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