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第2回キッズデザイン賞に見る住環境のトレンド~キッズデザインはユニバーサルデザインの究極のかたち~

 この20年間で、住まいで団らんしている場所の床材は「じゅうたん・畳」から「フローリング」へ完全に主役が交代した。2008年に実施した生活定点観測調査(3年に1回質問紙郵送法で実施、回収数3112、有効回答率73.5%、質問数約500問)によれば、今や3分の2がフローリングであり、1990年の3倍以上となっている。

q08_2_30_1 団らんしている場所の床の、主な材質は何ですか

 小さな子どもは家族の中で最も床に近い空間で暮らしている。第2回キッズデザイン賞(http://www.kidsdesignaward.jp/KDA_AWARD_2008/)の受賞作品の中に、2点の子どもの目線に立った住環境提案が見られた。
 1つは空気質についてである。かつて、じゅうたんや畳だった時には、ダニやほこりが気になったが、フローリングになってからは、化学物質が気になる。体重1kg当たりで換算すると、子どもの呼吸による空気中化学物質摂取量は大人の2倍にあたるというデータもある。そういった背景から、化学物質の発散量の少ない建材(床だけでなく、壁・天井・収納内部なども)と換気システムをセットした空気環境配慮仕様が提案されている。子どもにとって安全な空気を売り物とする商品で、それは誰にとっても安全な空気であるところをセールスポイントにしている。
 もう1つは温熱環境についてである。エアコンの吹き出し口は通常部屋の上方にあるため、冬場の暖房時には子どもの生活環境である床に近い部分が暖まらない。そこで、専用の吹出し開口のある巾木から室内へ緩やかに温風を吹出すことを提案している。部屋の下方にある巾木部分から緩やかに吹出す気流による空調は嫌なドラフト感がなく、高さ方向の温度分布も天井から床までほぼ均一だという。床暖房に近い効果が得られているようだ。こちらについても、天井付近の暖まりすぎを解消するということから、子どもにとって快適な空間が、大人にとっても快適なものとなっている。
 キッズデザインという言葉が世に出てからまだ間もないことから、キッズデザインを「子ども向けのデザイン」だけと思っている応募者も少なくない。これら2つの受賞作品は、子ども目線でのデザインが優れた共用品になること、キッズデザイン賞審査委員長の赤池学氏による定義「キッズデザインはユニバーサルデザインの究極のかたち」を示したという点で、キッズデザイン賞の今後の方向性を占う良い例といえよう。

【参考】第二回キッズデザイン賞 商品デザイン部門 受賞作品ページのURL
受賞番号:080049 http://www.kidsdesignaward.jp/KDA_AWARD_2008/prize6/01/02/
受賞番号:080145 http://www.kidsdesignaward.jp/KDA_AWARD_2008/prize6/01/06/

横井 泰治

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