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ipadに見るコミュニケーションインターフェースの可能性

 5月末に発売されたアップル社のipadは、発売日の行列ニュースや各メディアでの高い注目など、あまり電子端末に興味のない人でも興味を引く存在ではないでしょうか。
 最も注目されている電子書籍機能は雑誌やWEBサイトの記事で詳細に解説されており、あえてここでは触れませんが、実際に家電量販店の店頭で使ってみたところ次の2つのポイントがとても印象的でした。


・タッチパネルを中心としたシンプルかつ直感的な操作性


・大画面化によって多人数での同時利用


 一つ目の操作性については、これまでのヒット商品であるiphoneやipodtouchでのタッチパネル操作を中心としたインターフェースをそのまま利用しており(目立つボタンは1つだけ)、直感的な操作が可能となっている点です。
 都市生活研究所で行った生活定点観測調査では、「モノを使用するに当たって、説明書をよく読むようにしている」という設問に対して、「あてはまる」と回答している人が年々減少しており、特に99年以降は「あまりあてはまらない」と回答している人が大きく増加しています。パソコン等の高機能製品のみならず家電製品や携帯電話等においても高機能・多機能化が進み、説明書がどんどんと厚くなっていることが一因と考えられますが、いかに説明書を読まずともその製品の魅力や機能がすぐに使えるかといったことが今後求められる要素だと思います。
 そういった点で、iphoneやipadが持つシンプルで直感的な操作性はひとつの答えを示しているかもしれません。
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 二つ目のポイントである同時利用は、一つ目の操作性に加えてipadの大きさと形状がもたらす効果といえます。単にiphoneがそのまま大きくなっただけですが、それによって使い方に新たな可能性が生まれています。店頭での使用体験では、店員さんと並んであーでもないこーでもないと二人で操作すること出来たのですが、これは従来のパソコンやパーソナルツールのように、どちらか一方が操作者でもう一方が眺めているといったかかわり方と大きく違うところです。
 また、テレビや家庭用ゲーム機のように一箇所に固定されたものとも少し違います。どちらかというと紙媒体の雑誌や絵本のように、自由な場所で家族や友人達と覗き込みながら相互にコミュニケーションを図って使うことが可能でしょう。


 昨年実施した暮らしに関する調査では、「ひとりの時間より家族と過ごす時間が好きである」という設問に対し、男女ともに若年層になるほど「あてはまる」と回答している傾向が見られ、今後の暮らしでは家族と過ごす時間への関心が高まってくることが考えられます。
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 こうした背景からも、ipadに見られるようなインターフェースのあり方は、暮らしの中での新たなコミュニケーションツールとしての可能性が期待できるのではないでしょうか。


宮城 禎信

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