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中古品を買う選択

 今年の2月7日から17日間、ロシア・ソチで冬季オリンピックが開催されました。夜遅くまでテレビで観戦した方も多いと思います。私も楽しく見ていましたが、案外知らない競技があると感じました。その一つが、独特な形状のそりに乗り、氷を張ったコースを滑走しタイムを競うボブスレーです。欧米では人気がありますが、現在日本では国内で競技できる場所が一つしかないマイナー競技で、長年日本チームは外国製の中古品のそりを購入し、調整して使っているそうです。今回、新たに国産そりの開発を大田区の下町の工場が進めていましたが、テスト滑走時に指摘された不具合の検証が間に合わず、残念ながらオリンピックで採用されませんでした。ボブスレーは、そりの性能がタイムに大きく影響する競技ですので、次回オリンピックでは期待したいです。


 ところで、今年、都市生活研究所が行った調査で、買い物では「新品よりも中古品やリサイクル品を買うことが多いか」聞いてみました(図1)。


図1.新品よりも中古品やリサイクル品を買うことが多い人の割合(年代別)


 20代、30代で20%弱の人が、新品よりも中古品やリサイクル品を買うことが多く、年代が上がるにしたがい、中古品やリサイクル品を買うことが多い人の割合は少なくなります。では、20代、30代の若年層は、どのような中古品を買うのか。中古品を買う人は、購入時にどのような商品を探しているのでしょうか。購入時に中古品を探す人の割合について、品物ごとに比較しました(図2)。


図2.購入時に中古品・新品を探す人の割合(品物・年代層別)


 購入時に中古品(中古だけ、中古+新品)を探す人の割合で、書籍、住宅、インテリア・家具については、ほとんど年代による差異は見られません。自動車、普段着、おしゃれ着、バック・財布、家電製品、食器、携帯スマホについては、年代による差異があり、若年層のほうが中古品を含めて探す人が多いことがわかりました。


 書籍、住宅は、他の品物と比べて、中古を含めて探す人の割合は多いことがわかります。これは、市場での中古品の流通が多いことが理由として考えられます。買い物の際に新品か中古品を探す上で、市場に流通しているかどうかは重要な問題です。中古品が市場に流通していれば簡単に探すことができますが、そもそも中古品が流通していなければ、新品を選ばざるをえないからです。書籍は、若年層、中高年層とも約70%の人が購入時に中古を含めて探します。古本屋やブックオフ等、中古の書籍を置いている店も多く、いずれの年代の人も利用していると考えられます。住宅は、若年層、中高年層とも約50%の人が購入時に中古を含めて探します。不動産屋では多くの中古物件を扱っており、中古物件を含めて探す人も多いと考えられます。

 自動車は、若年層は約45%、中高年層は約35%の人が購入時に中古を含めて探します。欲しい車が中古車でしか買えない(新車がない)、中古のほうが比較的安く買えるといった理由から、中古車を含めて探す人は多いと考えられます。一方、新車だけを探す人の割合を比べると、若年層は約32%、中高年層は約49%でした。中高年層の人は、若年層と比べ、新車のステイタスに価値を感じている人が多いと考えられます。


 買い物の際に、中古品を含めて探すかどうかは、新品であることに価値を感じているかどうかがポイントになると思います。若年層の方が、衣服やバック・財布、家電製品については基本機能があれば十分で、新品に対するこだわりがないのかもしれません。また、ブランド古着など新品よりも中古品を好む若者も多くいます。若年層の方が、新品よりも中古品を買うことが多い人の割合が高いのは、若年層と中高年層では、新品、中古品に対するこだわりや価値観に違いがあるからではないでしょうか。

 もし、あなたが新品しか買わない商品でも、買い物の機会があれば、中古品を含めて探してみてはいかがでしょうか?案外掘り出し物が見つかるかもしれません。


近藤 芳樹

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