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本能で気持ちよい暖房

 最近、明け方の気温も低くなり、暖房が恋しくなる季節がやってきた。皆さんのご家庭でも暖房を使い始めた方もいるだろう。

 我が家でも先日、朝に暖房を使い始めた。今シーズンから床暖房がある家に移り住み、床暖房生活が始まった。家には3歳になる娘がいる。彼女は、今まで床暖房が無い家で育った。もちろん3歳の幼児が床暖房などという暖房の存在を知っているはずもない。
 
 初めて床暖房を使った朝、いつものとおり娘が起きてリビングルームにやってきた。いつもならダイニングテーブルに走ってきて朝食を食べ始めるのだが、この日はちょっと様子が違った。
 リビングルームに入った瞬間、彼女はぴたっと立ち止まり、不思議そうな顔をした。次の瞬間、「あ~! 床があったかい~!」と言いながら暖かい床の上をコロコロと転がり始めた。そして「床があったかくて、きもちいい~」大はしゃぎである。思わず、近くにあったカメラで床の上で転がっている娘の姿を撮影していた。

床の上で転がっている娘の姿の写真

 私は日常、床暖房の快適性に関する研究を行なっているが、彼女の反応を見て驚いた。多くの実験を行ない、床暖房の快適性を定量的に説明するために行なっているわけだが、そんなことは全て吹き飛んでしまう出来事だった。数字では決して表現できない彼女の笑顔。大人の場合、床暖房とは何であるかという事前知識がある中で様々な反応を示すが、彼女の場合は、まさに本能で気持ちよいと感じたからこその行動だったのだろう。

 今回の出来事には、床暖房の研究を進めている私にとって大いに勇気づけられるとともに、自信にもつながった。今後も、人を感動させることができる床暖房の研究に力を注いでいきたいと思う。

都市生活研究所 松前 和則

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