都市研コラム

環境問題に対する取組みをより普及させるために(3)

 12月に入り、今年も残すところ2週間余りとなりました。
 今年は洞爺湖サミットが開催されるなど、環境問題がより注目された年ではないでしょうか。以前のコラムでは、生活者の環境に対する意識や実態の調査結果として、環境問題に対する関心は高まっている一方、約半数が環境の取組みに対する効果がわかりにくいと思っているということをご紹介しました。(2008年4月14日、8月11日のコラム)

 効果がわかりにくいことは既にさまざまなところで言われており、環境省の『温室効果ガス「見える化」推進戦略会議』をはじめ、カーボンオフセットやカーボン・フットプリント、炭素会計など、「見える化」する取組みは広がりをみせています。これら国や企業等の取組みはCO2を含む温室効果ガス量を数量的にあらわすことで生活者の取組みを促進しようとするものですが、今回は生活者の視点から取組みの促進に資する環境の取組みの効果のわかりやすさについて考えてみたいと思います。

 都市生活研究所の調査によると「環境機器を使用した際に環境性を実感できるのはどのようなもの」かという質問に対しては、『光熱費』という回答が最も多く得られました。

Q.環境機器を使用した際に環境性を実感できるもの(複数回答)

 生活者にとって、光熱費の削減(経済性)は日々の生活において実感しやすいことですので納得できる結果といえます。もちろん、「どれだけCO2量を削減できたか」が明確になることは重要ですが、上記の調査結果はCO2を削減したことにより「役立つこと」「自分にとってのメリット」がわかることが実感につながるということをあらわしているともいえるのではないでしょうか。

 企業は、環境性(エコロジー)と経済性(エコノミー)の情報を一緒に提供することも多く、生活者にとって最もわかりやすいメリットが経済性となってしまうように見受けられますが、今まで以上に取組みを促進するためには、経済性だけではないメリットも必要ではないでしょうか。しかし、生活者が自ら経済性以外のメリットに気づくことは難しく、国や企業等がわかりやすく提示したり、新たにつくりあげなければいけないかもしれません。

 例えば、「エコかっこいい」といった言葉がメディアに登場しましたが、生活者の50.7%がエコロジーやリサイクル活動に積極的な人はカッコいいと感じています。

Q.エコロジーやリサイクル活動に積極的な人はカッコいい

 また、自分が削減したCO2量により企業などを通じて、植林などの環境活動や寄付といった社会貢献活動を行ないたいと思う人も見受けられます。

Q.環境機器を使用した際に行ないたいと思うこと

Q.環境機器を使用した際に行ないたいと思うこと

 環境機器を所有したり環境に取り組むことがカッコいいと思われ、うれしさや誇らしさを感じたり、社会や他人のために役に立っているという満足感が得られるといった情緒的価値が経済性以外のメリットになりうるのではないでしょうか。

 今後は、CO2を削減することが「どのようなことに役立つのか」「自分にとって、どのようなメリットや情緒的価値があるのか」を伝えられることが、生活者の環境への取組みをより促進させる鍵かもしれません。

荻原 美由紀

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