都市研コラム

万が一の備え

 今年も二週間ほどで終わりを迎えようとしていますが、先日、毎年恒例の新語・流行語大賞が発表され、震災関連の言葉が多くノミネートされていました。トップテンには「帰宅難民」や「絆」等の言葉が入っており、3月の大震災をきっかけとして改めて様々なことを考えるようになった方も多いのではないでしょうか。

 都市生活研究所が震災後に一都三県を対象として行った調査では、約4割が「震災前は、災害時の備えを真剣に考えていなかった」と回答しており、震災をきっかけに改めて考えるようになったことのひとつとして「備え」が挙げられるでしょう。備えについては、震災直後に品不足になった食料品や飲料水の備えだけでなく、エネルギーの備えについても必要性を感じているようです。
東日本大震災がきっかけとなりあなたご自身が感じていること
 エネルギーに関しては、今夏は節電意識が高まっていることもあり、太陽光発電システムや燃料電池を搭載した住宅の販売が好調だったようですが、調査結果からも4割以上が発電や蓄電に興味・関心を寄せていることがわかり、家庭における発電や蓄電がエネルギーの備えとして位置づけられるようになったのかもしれません。
機器への興味・関心

 備えの意識は高まっているようですが、実態はどうでしょうか。
 例えば、食料品・飲料水のストックついては、震災前から約3割が「備え」を行なっていましたが、震災後に新たに「備え」を行ったのは2割程度にとどまっており、「行おうと思ったができていない」人が約2割いることがわかります。その他の「備え」については、懐中電灯の明かりや乾電池の準備を行なっている人は比較的多くなっていますが、その他多くの「備え」は思っていてもできていないようです。
備えのために行なっていること

 インタビュー調査では、「備えようと思ったときに、保存食や転倒防止用のグッズなどが品切れで買えなかったからできていない。」といった声があり、品揃えが戻った後も、できていない状態のままになっています。

 震災以降の定期調査の結果から、生活者の備えの意識は時間の経過とともに低下傾向にあり、ますます「備え」は行われないことが予測されます。「万が一の備え」と言ってしまうと、「そのうち準備しよう」という気持ちになってしまいがちですが、「万が一」がいつやってくるかはわかりません。食料や明かり、エネルギー源などの備えについて、再度見直してみてはいかがでしょうか。

荻原 美由紀

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