都市研コラム

エネルギーの適材適所

 昨年12月に社内のボランティア活動で宮城県内の仮設住宅を訪問する機会がありました。冬の平均気温が東京と比べて5度近く低い地域において、仮設住宅で生活する方々の寒さ対策が気になっていましたが、冬本番に向けて玄関前への風防室設置や壁の断熱工事が急ピッチで行われていました。しかし、いくら断熱性や気密性が向上しても「暑さ以上に寒さは我慢しづらい」という声もあるとおり、冬に暖房は欠かせません。今年の冬は自主的な節電が継続して求められていることもあり、ガスや灯油など省電力タイプの暖房器具の売れ行きが伸びているようです。
 このように生活者の節電意識や行動はいまだ継続しているようですが、都市生活研究所が震災以降に継続して実施している意識調査において、生活者が家庭で使用するエネルギーに求めていることを見てみると、「安全性」、「経済性」、「供給の安定性」が上位にあがってきていることが分かります。
家庭で使用するエネルギーに求めること

 震災に伴う原発の停止などを受け、国のエネルギー政策の抜本的な見直しが進められる中、太陽光発電や太陽熱利用、風力発電といった再生可能エネルギーが脚光を浴びています。しかし、太陽光や太陽熱などの再生可能エネルギーは環境面で優れているが天候に左右される、石油や天然ガスなどの化石燃料は環境負荷がかかるが供給面は安定しているなど、エネルギーにはそれぞれに長所・短所が存在します。「安全性」、「経済性」、「供給の安定性」といった生活者のエネルギーに対するニーズに応えていくためには、こうした様々なエネルギー源を上手に組み合わせていくことが重要だと思います。
 昨年のなでしこジャパンも、箱根駅伝で優勝した東洋大学も、サッカー天皇杯を制したFC東京も、突出した個の存在だけではなく、選手それぞれの特長を活かした適材適所な配置により、チームとしての調和やまとまりがあったからこそ、素晴らしい結果が残せたのだと感じています。
 東京ガスでは、震災以前から複数のエネルギーを組み合わせて利用することで、それぞれのエネルギーの短所を補うことが可能となる「チーム・エネルギー」を提唱してきました。未曾有の震災を経験し、エネルギーのあり方について様々な議論が交わされる中、今まさに、この「チーム」としての真価が問われている時なのかもしれません。

島村 俊哉

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