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「鎌田一夫」 記事一覧

「住み替え」行動に変化? ― 住宅双六という幻想が崩れる

 人々はライフサイクルに合わせて住宅を住み替えていきます。親元から独立したり地方から上京して会社の寮や単身アパートに住み、結婚後に社宅、ファミリー型賃貸、公団・公社住宅などを経て、分譲マンションに住んだ後、戸建のマイホームを取得する、といったのがひとつの典型です。かつてはこうした住み替えを、寮を<振り出し>に戸建マイホームを<上がり>とする住宅双六と呼んでいました。双六ゲームと同様に、出来るだけ早...続きを読む

二つの動線経路を持った住宅の魅力
―小規模でもそれを実現していた初期の集合住宅―

 "不意のお客があった時、キッチンやバスルームにいる家族と顔を合わせずに済ませたい" "汚れ物を、きれいな部屋を通らずに処理したい"こうしたニーズは日常の生活で誰もが感じていることではないでしょうか。メインの廊下の他に、裏の経路があるとこのニーズを満たしてくれます。とりわけ、玄関から各居室やキッチン、バスルームへは二つの経路(きちっとした廊下でなくても)があると何かと便利です。  今のマンションで...続きを読む

第二の人生を何処で暮らすのか(居住パターン5――田舎暮らしとマルチハビテーション)

根強い田舎暮らしへの志向と移住できない事情  都市生活者にとって、リタイアー後は田舎でのんびり過ごすのが夢という話はよく聞きますが、前回のコラムで触れた「移住」となると、かなり重い決断になります。家族が一緒に移住できない、友達や地域とのつながりを保ちたい、病院など老後に必要なサービスに不安がある等など、完全に都市生活と別れるのは難しいことです。  もともと都市生活者は都市生活と田舎暮らしを上手く使...続きを読む

第二の人生を何処で暮らすのか(5)
居住パターン4-故郷に帰る

 高齢期=第二の人生を何処で暮らすのかを考えてきましたが、今回は故郷に帰る、Uターンという居住パターンについて見てみましょう。  図-1は、 2004年に当都市生活研究所が首都圏の団塊世代を対象に行った調査の中で、「老後にもっとも住みたいと思う場所は?」という設問の結果です。故郷に帰るという回答は団塊世代の男性で5%弱、その他の属性では2%程度に留まっています。回答者の中には現在の地域で生まれ育ち...続きを読む

第二の人生を何処で暮らすのか(4)
居住パターン3-都心や圏域の便利なところに住み替える

 私が担当するコラムでは、まさに第二の人生といえる高齢期を人々は何処で暮らすのかを考えてきました。今回は「都心や圏域の便利なところに住み替える」という居住パターンです。 マイホームで叶わなかった夢 1970年代80年代に東京圏は急速に郊外へ拡大しました。丁度、子育て期にあった団塊世代を中心に、人々は郊外にマイホームを求めたのです。家計を考えて、足の便の悪さはちょっと我慢した人も多く、本当はもう少...続きを読む

第二の人生を何処で暮らすのか(3)
居住パターン2-子供と暮らす)

 今、65歳男性の平均余命は18年、女性は23年あります。老後というには長い年月の第二の人生を、どう暮らすかをこのコラムで考えてきました。今回は第3回。子供と暮らすというのがテーマです。いまどきそんなことは考えてもいない、とおっしゃる方が多いと思いますが、少し前までは当たり前だったことを思い起こしてみましょう。  下の表では、豊橋技術科学大学名誉教授の三宅醇先生の推計値を基に、家族と一緒に住む高齢...続きを読む

第二の人生を何処で暮らすのか(2)
居住パターン1-今の自宅に住み続ける

高齢者世帯の8割は持家住まい  下の表は家計を主に支える者の年齢別に、住んでいる住宅の種類を見たものです(住宅・土地統計調査)。当然ですが、年齢が上がるにしたがって持家の割合が増え、高齢者世帯では8割に達しています。このマイホームで老後を過ごそうというのはごく自然なことです。いろいろな調査でも、高齢者予備軍(現在では団塊世代前後の方)の半数弱は、現在の住まいや地域に住み続けることを希望しています。...続きを読む

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