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若年層のニーズを捉えるには

 雑誌を読まない人たちが増えている。雑誌ばなれの主役は10~20代前半の若年層。パソコン所有も減少し、テレビやラジオの視聴も減っている。意識や行動を決める重要な情報源は携帯電話。


 加えて、若年層が世間よりも親しい人の評価を重視していることを踏まえると、クチコミも信頼かつ重視する情報源だろう。ここでも、携帯電話の存在は大きい。これまで雑誌のタイトルやキーワード分析は、ライフスタイル予測のために有効な手段とされた。しかし、若年層の状況を踏まえると、今後のニーズ予測には必ずしも十分といえないだろう。


 その一方で、雑誌を重視するのが、いまの40~50代である。特にいまの50代女性をターゲットにananやnonnoが創刊されたこともあり、雑誌を参考にライフスタイルを学ぼうという傾向が強い。50代女性向け雑誌が近年複数創刊されたのはそうした事情を反映したものである。ニーズをニーズのままにせずに、いまの彼女たちが求める雑誌を創刊したことで新たな市場を作り出したのだ。


 価格のみが重視されがちな現在、市場での競争優位を築くために、消費者の潜在的なニーズを見つけようという動きが強まっている。しかし、見つけ出したニーズをかなえる商品やサービスがなければ、ニーズはニーズのままで終わってしまう。


 では、いまの若年層の意識や行動を予測するにはどうしたらよいのか。


「うちの娘は国語力が足りない。よく読んでいるのは携帯小説。自分も読んでみたが
 国語力につながるかどうかは疑問。」


 と中学2年生の娘をもつ母親が話す。国語力が足りないとなると、従来のアンケート調査でのニーズ把握は難しい可能性もある。親しい人にしか本音をみせないとなると、インタビュー調査も難しい。


 次世代の顧客確保のためには、例えば、口コミを作り出すトレンドリーダー探しや携帯電話の使い方に関する徹底的な調査も考えられるが、客観的な立場での行動観察がまず必要となるのではないか。


中塚千恵

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