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性差を超えたビジネスがチャンス!?

 スイーツ男子、お弁当男子、男性のお化粧など、これまで女性のイメージが強いことを男性も行なうようになった。話題の草食系男子も男性の女性化を示すものである。
これまでは、ギャンブルや1人での食事など、女性の意識・行動面での男性化がとりあげられることが多かったが、現在はその逆の現象である。正しくいうと、男女とも、これまでも水面下で起こっていたことが、社会的規範が弱くなったために表面化したと考えられる。女性特有と思われる行動をする男性が話題になればなるほど、その動きに刺激されて自己表現をするようになる。仲間がいれば怖くないのだ。
 では、なぜ、男女の意識・行動の社会的規範がなくなったのか。その理由は2つある。ひとつは、男女雇用機会均等法による女性の社会進出が、男女は平等という意識を推進・定着させたからであろう。
 2つめは、教育の影響である。昨年実施した20代の女性では、家庭科の共習などの影響からか、「男性だから●●はしてはだめ、女性だから××はすべきではない」という意識は薄い。つまり「強く意識して性差をなくした人々」と「そもそも男女の区別がない人々」が増えたからこそ、性別によらない意識や行動が増えているのである。
 社会的規範がうすれた代表例としては「家事」があげられる。すでにゴミだしは男性が担当する場合は多く、若年層では、食事を作る男性も増えている。一方、中高年男性に目をむけても、同様に増加傾向にある。中高年男性の妻からは「食事作りを夫にもやってもらいたいと思っても何がどこにあるか、ひとめでわかるように収納できないので無理。かえって面倒」という声もきかれた。男性の料理教室など、調理の腕を磨くことも必要ではあるが、男女に限らず、誰もが使いやすい環境づくりも性別を超えた家事行動につながる。
 人口減少社会のなかで、商品やサービスのターゲットは広くとれるほうがよいのは当然のことだ。性別にとらわれないニーズが増えることは、ビジネスの拡大チャンスでもある。
 商品やサービスの開発には、ターゲットとなるユーザーを設定することは、重要であるが、今後は、男性または女性専用と考えることなく、多面的にターゲット像をつめていくことが、ビジネスの上でも重要となるのではないか。


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中塚千恵

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