都市研コラム

この夏の自由研究 ~太陽熱給湯器「手づくりソラモ2013」で「節水」意識が高まった~

■この夏の課題設定。

 夏は暑い。でも、暑い暑いとぼやいても1円にもならない。何とかこの熱を利用できないものか。
 去年は、雨傘の裏にアルミ箔を貼って太陽熱調理器を作ってみた。しかし、本体に強度を持たせて安定させること、熱の焦点にフライパンを固定することが難しく、めだま焼きひとつ焼き上げることができなかった。
 今年は欲張らず、お湯を作るところからやってみよう。そう考えて始めたのが、太陽熱給湯器だ。といっても難しいことはなく、ポリタンクに水を入れて日の あたる場所に置いて、太陽の熱でお湯を作るという単純明快な発想である。「太陽の光や熱を利用した」という意味の形容詞「solar」を使って、「手づく りソラモ2013」と命名した。


■太陽熱給湯器「手づくりソラモ2013」を作る。


 まず、ホームセンターで水用のポリタンクを3つ買ってきた。万が一にも灯油と間違えることのないように色は「白」、容量は「10リットル」のものを選んだ。
 あとは、買ってきたポリタンクに水道水をいれて日のあたる所に出すだけ・・・かというと、それでは不十分だ。ポリタンクを直射日光に当てておくと劣化してもろくなってしまうし、熱吸収という意味では白よりも黒のほうが高効率だからだ。
 とはいえ黒く塗るのはめんどくさいし、中身がみえなくなるのも嫌だなぁなどと思っていたとき、目についたのが「黒いエコバック」。わくわくしながらポリタンクにかぶせてみると・・・あらまあぴったり!
 かくして、直射日光にから容器を保護し、熱の吸収効率がよく、中身も確認しやすい太陽熱給湯器「手づくりソラモ2013」が完成した。

図.太陽熱給湯器「手づくりソラモ2013」
図.太陽熱給湯器「手づくりソラモ2013」


太陽熱給湯器「手づくりソラモ2013」を使う。

 朝、ポリタンクに水道水を入れて、日の当たる場所に運び、黒いエコバックをかぶせる。日が暮れるころには、晴れた日なら熱いぐらい、曇りの日でも 冷たくはないぐらいのお湯ができている。気温が高い夏だからこれで十分だが、天気が良く予想以上にお湯の温度が高かった日は、特にうれしくなった。
 これを浴室に運び、お湯を使う分ずつボウルに移して身体を洗う。洗面器がないので、使っていないボウルを台所から持ってきた。2リットルぐらい入るボウルは、期待以上に使いやすい。
 空になったポリタンクには、その場で次の水道水を満たす。めんどくさいが、後でやるのはもっとめんどくさい。今やっておくのがいちばんだ。それに、いつでも汲みたての水道水が30リットルある状態にしておけば、生活用水の備蓄水としても頼りにできるというものだ。


太陽熱給湯器「手づくりソラモ2013」を使って、変わったこと。


 当初は、10リットルやそこらのお湯で身体が洗えるとは思っていなかった。足りなければ浴室のガス給湯器を併用しようと考えていた。
 しかし、意外にも、ガス給湯器を併用することは殆どなかった。行動が自然に変わっていったからだ。むやみに石鹸を使ったり、考えなしにお湯を流したりという行為が、どんどん少なくなっていったのだ。
 最終的には、私も家族も、10リットルのポリタンクひとつ分ずつのお湯で身体が洗えるようになった。非常時を想定した緊縮モードなら、ボウル一杯分でも何とかできる。

 行動が変わった理由のひとつは、「自分が使ったお湯」と「残っているお湯」の量が「常に目に見えていた」ことだろう。具体的な量を把握できたことで、その後の使用量を調整し、効率よく使うように行動が変わっていったのだと思う。


■水は重い。


 もうひとつの理由は、「水は重い」ことを痛感したことだ。同じ10kgのダンベルと比べると、水のほうがずっと重く感じる。両手にひとつ ずつ、2つで20kg分の水が入ったポリタンクを持つと、小柄ではない私でもふらつく。浴室からベランダまで運ぶのに一苦労だ。残りはひとつだから軽いか というと、今度はバランスがとれなくて持ちにくいことこの上ない。
 こんなに重いのに、ちょっと身体を洗ったらなくなってしまう。今は夏の自由研究で楽しくやっているけれど、これが非常時だったら、この重い重い水を持って、マンションの階段を何往復するのか・・・と思うと、気が遠くなった。


■私たちは毎日、とてもたくさんの水を使っている。


 災害時などの備えに必要な水は、1人あたり1日3リットルと言われている。しかし、これはあくまでも生存するために必要の量だ。東京都水 道局によれば、1人が1日に使用する水の量は約230リットル。一般的な家庭用バスタブには入りきらない大変な量だ。その28%が水洗トイレ、24%が風 呂、23%が炊事、16%が洗濯で使われているという(東京都水道局:一般家庭水使用目的別実態調査)。

 シャワーを出しっぱなしにすれば1分間で12リットル、旧式の水洗トイレを1回流せば13リットル・・・便利な生活の中では、自分で運ぼうとしたら大変な労力を要する大量の水を、一瞬のうちに使い捨ててしまうことができるのだ。


■自由研究のススメ。


 この夏の自由研究は、夏の太陽熱を使ってガス代でも節約できたら...という軽い気持ちで始めたものだった。実際に、ガス使用量もガス料金も飛躍的に縮小した。
 しかし、最も大きな成果は、水が重いことを実感したこと、それによって節水の気持ちがより強くなったことだった。

 便利なもの、快適な設備は、生活を豊かにしてくれる。それらを適切に取り入れた生活を送るのは悪いことではない。ただ、時々「それがなかった ら?」を想定してみることも、無駄にはならないと思う。極端な省エネや節水を毎日続けることは大変だが、時間や気持ちに余裕があるときの自由研究としてな ら、不便や苦労も楽しみながら、新しい発見が得られるのではないだろうか。


 手づくりは面倒だという方には、東京ガスの太陽熱利用ガス温水システム SOLAMOがあります → http://home.tokyo-gas.co.jp/living/solamo/index.html

菅原 ひろみ

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