都市研コラム

「ひとりぐらし」は理想の暮らし方?

 「ひとりぐらし」が増え続けています。
 2010年の国勢調査(全国)によると、「単独世帯」は全世帯数の約32%を占め、「夫婦と子供からなる世帯」の約28%を超えて、最も多い世帯の形です。さらに、今後も単独世帯は増加が予想され、2014年3月の東京都の推計では、東京都区部の単独世帯の割合は、2035年に50%を超えるとされています。
 このように、「ひとりぐらし」はかつてのイメージ「一時的な仮ぐらし」ではなく、長期的に継続される、基本的な暮らし方の一つになっているといえるでしょう。
 都市生活研究所では、このような「ひとりぐらし」のライフスタイルを探るため、20代~50代の単身社会人を対象とした調査を実施しました。この調査の中から、「ひとりぐらし」そのものに対する意識をご紹介します。


※単身者WEB調査 ... 2014年6月実施  一都三県在住 20代~50代 未婚単身社会人 男女1600名


 まず、「ひとりぐらし」の人たちは、この暮らし方を「今の自分に一番合っている」と感じています。(図1)その良さとしては、「気楽に」「自由に」「自分スタイルで」暮らせることがあげられています。(図2)
 また、「誰かと一緒に暮らすことはストレスがたまる」と感じている人も多く、「ひとりぐらし」は「無理をしない自分らしい暮らし方」と捉えられていることがわかります。(図3)
 図1~3のグラフを見てわかる通り、特に女性は肯定的意見が多く、彼女達がこの暮らし方を満喫している様子が伺われます。


図1 ひとりぐらしは、今の自分に一番合った暮らし方だ


図2 ひとりぐらしの良さ(上位5項目)


図3 誰かと一緒に暮らすことは、ストレスがたまる


 このような考えを持つ人達なので、近頃話題になることが多い「シェアハウス」に対しては、あまり乗り気ではないようです。20代男女では、住んでみたい人が2割前後いますが、それ以外の年代では、半数以上の人が住んでみたいとは思わない(あてはまらない)と答えています。(図4)


図4 シェアハウスに住んでみたい


 さらに、「もしも結婚したら」という仮定の下で、「結婚後の理想の住まい」を聞いたところ、隣居(マンションの隣室などに、別々に住む)、週末婚(別々の場所に住むが、週末はどちらかの家で一緒に住む)、通い婚(別々の場所に住み、会いたいときだけ通う)といった、『別居婚』を望む人が全体の2割近く、50代女性では4割近くになりました。(図5)
 『別居婚』の3種類の中で、最も理想とする人が多いのが「通い婚」です。「通い婚」は実質「ひとりぐらし」とほとんど変わりがなく、結婚しても今の暮らし方を変えたくないという意識が表れていると言えます。


図5 結婚後の理想の住まい方


 「ひとりぐらし」は「自由さ」と背中合わせに、助けてくれる同居者がいないことによる不安が存在します。「自由さ」を守りつつ不安をやわらげるために、「通い婚」のような暮らし方はひとつの理想形なのかもしれません。

 今回の調査は20~50代を対象として実施しましたが、国立社会保障・人口問題研究所の推計(日本の世帯数の将来推計)によると、今後特に増加が見込まれる「ひとりぐらし」は、50~60代男性と、80代以上の女性です。年齢が高くなれば、「病気」「介護」「孤独死」などの不安はさらに大きくなり、実際に困難を抱える人も多くなるでしょう。
 不安や困難を軽減するためには、近所の人・友人・知人・別居家族などとセーフティネット機能を持つつながりを構築することが非常に重要ですし、そのためには周囲からの働きかけも必要です。
 「ひとりぐらし」が当たり前となるこれからの時代、何歳になっても「ひとりぐらしは理想の暮らし方」と思えるような、安心できる仕組みやあり方が広まっていくことを切に願っています。


木村康代

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