都市研コラム

ぐっすり眠れる入浴法

 寒い季節、お風呂は本当にありがたいですよね。温かいお湯は凍えた体をほぐし、一日の疲れを癒してくれます。雪の中、温泉につかるサルの動画を見ていると、リラックスした表情がほんとうに心地よさそうで、「わかるー、わかるよその気持ち」と深くうなずいてしまいます。


 サルのような体毛を持たない人間にとって、寒さは大敵です。子どものころから寒がりだった私は、冬場は靴下を重ね履きしても、足先が冷えて眠れないことが多く、よく足浴をしていました。夜中にこっそり起き出し、風呂場へいって洗面器にお湯を満たし、両足をつける。足先が冷え切っているので、じーんと痛いほどですが、やがて温かさが染み込み、感覚が戻ってくる。足の表面だけ温めるのではなく、じんわり「芯まで温める」のがコツで、こうやると朝まで熟睡できました。すべては寝ている家族を起こさないよう、暗闇の中でひそかに行っており、あやしい儀式のようでしたが、今考えると湯を沸かすボイラーの音で、家族にはバレていたことでしょう。


 都市生活研究所が行った実験でも、足浴をすることで、足だけでなく、身体の他の部分、顔まで温まっている様子が確認されています。(図1:こちらの実験は、つまさきからふくらはぎまで、42℃のお湯に20分つける方法の足浴を行いました。)足浴は、忙しい時や日中など、浴槽入浴が難しい時に便利な方法です。


足浴前後の体表面温度の変化


 私の場合、足浴をすると熟睡が得られましたが、心地よい眠りをもたらすのに、お湯に浸かる入浴は効果的です。体温と睡眠は関係が深く、入浴は体温に大きく関わるので、睡眠のリズムを知ってお湯に浸かる入浴のタイミングを工夫することで、質の良い眠りが得られます。
 次のグラフ(図2)は、就寝前後の直腸温を示すものです。睡眠が最も深くなるのは、入眠直後ですが、この時に深部体温(体の内部の体温)が下がると、深い睡眠を得ることができます。就寝前に入浴を行い、深部体温を上げておくと、入眠時に体温が下がりやすくなり、深い睡眠につながります。ただし、就寝直前に熱いお湯に入ると覚醒しやすくなるため、お湯の温度は40℃以下、就寝の1時間から1時間半前に入浴を済ませておくことに注意が必要です。


就寝前から就寝後の直腸温の変化


 お風呂に入ってぐっすり眠る。ぐっすり眠って元気になる。温泉のよさを覚えたサルに負けずに、私たちも、毎日の暮らしをよりよいものにできるよう、進化していきたいものですね。
 都市生活研究所では、お風呂ライフをさらに楽しく、心地よくする研究成果をまとめたレポートを多数発行しており、以下はその一部です。ぜひご活用ください。


「高齢者の入浴と睡眠~ お風呂で健康に:浴槽入浴でよい睡眠を~」
(2010年9月発行)
「浴槽入浴・ミストサウナ浴の疲労回復効果」(2011年10月発行)
「シャワーによる眼の疲労回復効果」(2012年8月発行)
「入浴とヒートショック ~シニアの入浴環境の実態と意識~」(2015年10月発行)
「入浴習慣が心身に与える影響 ~全身浴のすすめ~」(2016年2月発行)


青木 眞希

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