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「理想の老後とは?」

 みなさんは、老後、思うように体が動かなくなってしまったら、どこで暮らしたいと考えますか?息子夫婦と同居?娘夫婦と?それとも家族から離れて過ごすことを希望しますか?


 都市生活研究所では3年に1度、首都圏の人々を対象とした「生活定点観測調査」を実施しています。望ましい老後の居住形態についてアンケート調査をしたところ、「老後、体が弱ってきて、配偶者がいないとき」に「息子または娘夫婦と同居したい」と考える人は、調査を始めて以来21年間、一貫して減り続けています。かわりに伸びてきているのが、「自分のみで暮らしたい」もしくは「民間の施設、または公共の施設で暮らしたい」と考える人の割合です。(図1)


図1.リフォーム前の住まい

       都市生活レポート「生活定点観測レポート2014」より


 この変化は、親子の絆・家族の絆の希薄化の表れなのでしょうか?


 年を追うごとに「老後は(子供とは同居せず)施設で暮らしたい」と答える人が増えているその背景には、介護を経験、または見聞きした方々の、「自分の家族、子供には、苦労はさせたくない」という思いがあるのではないでしょうか。


 また、「息子または娘夫婦と同居したい」という人が減っていく理由には、「息子(娘)や嫁(婿)に気を遣わず、気楽に過ごしたい」という思いもありそうです。


 図1のとおり、家族に頼らず「民間や公的な施設」で暮らしたいという人は、2014年時点で半数を超えていますが、「自分一人で暮らしたい」という人も、27.6%もいます。「息子または娘夫婦と同居したい(15.5%)」という人を上回る割合です。
 老後も一人暮らしを続けるためには、やはりできるだけ健康を保つこと、また、思うように体が動かなくなってしまったとしても快適にすごせる住まいの準備などが必要になってくるのではないでしょうか。


 都市生活研究所では、各世代の生活の実態やニーズを調査し、その結果をレポートにまとめています。以下、ご紹介するレポートは、老後の住まい、過ごし方など、ライフスタイルの構想にご活用いただけるかもしれません。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。


浴室・洗面室リフォームの現状とニーズ~50代・60代がリフォームで実現したい浴室・洗面室とは~」(2012年10月発行)

生活空間コンセプトvol.5 50代・60代の住空間研究~より満足できるリフォームを実現するために~」(2013年4月発行)

創食世代のライフスタイル」(2014年12月発行)

70代シニアの地域コミュニティの実態と意識」(2015年8月発行)


青木 眞希

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